(´;ω;`)ブワッ


by nakieiga
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さらば、ベルリン/ジョゼフ・キャノン(渋谷正子訳)

映画『ザ・グッド・ジャーマン』の原作。

主人公は従軍記者のジェイク。取材のため、ドイツ降伏直後のベルリンに入ったが、ジェイクには他にも目的があった。それは戦前、ベルリン駐在中に不倫していた女性レーナを探すこと。しかしベルリンは爆撃やら砲撃やらで廃墟と化しており、ソ連軍の進駐によって街は混沌のきわみにあった。そんなわけで、簡単にはレーナは見つからない。

そうこうしているうちに、ソ連軍が封鎖しているポツダムで、何故かアメリカ兵の死体が見つかる。しかも彼は多額の現金を持っていたのだ。

ベルリンへのフライトで同じ飛行機に乗っていたその男の死に疑問を抱いたジェイクは、真相を探るために取材を開始、その過程でレーナを見つけたり、ドイツ人の所業とアメリカがしていることの狭間で悩んだりする。

何とも浅薄な話で、うーん、これなら映画を観に行くのはやめておこうか。その浅薄なところがいかにもアメリカ人らしいとは言えるのだが、同じベルリンを舞台にしたフィリップ・カーの作品群のほうが重厚感がある。こちらはイギリス人。人間の業の澱が溜まったベルリンを感じさせてくれるのに対し、本作はその上澄みを見せてくれるだけ。ジェフリー・カーヴァーの『獣たちの庭園』もそんな感じだった。軽いタッチでは読めるけど、それだけ。

原題の『ザ・グッド・ジャーマン』は「模範的なドイツ人」と訳されていたが、そうなんだろうか? 「良いドイツ人は死んだドイツ人だけだ」という言葉があるが、そっちじゃないかと思う。あるいは、その両方か。それと言うのも本書では2回、「ザ・グッド・ジャーマン」の表記があり、最初のそれは「死んだドイツ人」の意味がふさわしい。そうすると2回目に出てくる「ザ・グッド・ジャーマン」が、その言葉を口にするのがどういう人物であるかということを踏まえ、今度は「模範的なドイツ人」という意味として捉えると、実に皮肉が利いた内容になってくる。そしてそして、そうなってくると、ジェイクがいちいち腹を立てる(これがまあ、青臭く思えるわけだけど)物語の根幹に関わる話も、アイロニーを帯びるというものである。

★★(フィリップ・カーを読みたくなった)
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by nakieiga | 2007-03-29 13:29 | 読書