(´;ω;`)ブワッ


by nakieiga
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ロング・グッドバイ(2)/レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳)

清水俊二訳のそれは、「お別れ」している期間が「長い」のだと思っていた。が、村上春樹訳では、「お別れ」を言うまでに要した時間が「長い」のである。

解釈としては、村上春樹のほうが正しい、ということになるだろう。

それで感じたのが、清水俊二訳は場面が魅力的であり、村上春樹訳は物語が面白いということだ。例えば同じシーンであっても、

「アルコールは恋愛のようなものだね。最初のキスは魔力がある。二度目はずっとしたくなる。三度目はもう感激がない。それからは女の服を脱がせるだけだ」
「そんなに汚いものか」と、私は尋ねた。
(清水俊二訳)

「アルコールは恋に似ている」と彼は言った。「最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりごとになる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ」
「どこがいけない?」と私は尋ねてみた。
(村上春樹訳)

と、こんなに違う。村上訳は明確、清水訳は読み方によってどうとでも取れる部分を残しておいて、場面の奥行きを広げているように感じられる。これはどちらが良い/悪いという問題ではない。村上訳によって『長いお別れ』という物語に対する理解を深めることができ、清水訳によってチャンドラーの文体に痺れることができたという、ごく個人的な感想である。

あらためて翻訳とは、日本語力が問われる作業だと感じた。
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by nakieiga | 2007-04-05 10:00 | 読書