(´;ω;`)ブワッ


by nakieiga
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眼下の敵

a0067708_11551294.jpg最近のどの潜水艦映画を観ても『眼下の敵』を思い出してしまうほど、潜水艦戦の映画的演出が凝縮された作品。

原作は小説『水面下の敵』。未読だが、著者が自身の体験を基に書いた小説ということだから、イギリス軍とドイツ軍の戦いと思われるが、映画はもちろんイギリス軍がアメリカ軍に置き換えられている。緒戦であれば、本作で描かれるような騎士道精神の発露が見られたと思うが、アメリカが参戦して以後、主導権が逆転しての1942年以降は果たしてどうであったろうか。

南大西洋でアメリカ海軍のバックレイ級駆逐艦がUボートを発見する。司令部からの情報によれば、Uボートは通商破壊艦と接触しようとしている。放っておくわけにもいかず、迂闊に追いかけて通商破壊艦(装甲艦なんだろう)と接触するわけにもいかない厳しい状況下にあって、駆逐艦艦長(ロバート・ミッチャム)は的確な指示でUボートを追い詰めてゆく。

それまで民間出身ということもあり、乗組員から厳しい目を向けられていた艦長だが、次第に不信感が払拭されていく。と同時に、Uボートを発見するや果断に攻撃を下命した理由が明かされる。艦長は元商船の乗組員であり、乗船を撃沈されたのだ。しかもその船には結婚して間もない妻も乗っていた。

死と破壊は永遠に続く。それは首を切られてもまた生えてくる蛇のようなものだ

ロバート・ミッチャムはUボート追跡を断固として続ける。

一方で追い詰められる側のUボート艦長(クルト・ユルゲンス)も手練れだ。任務に忠実なあまり動きを読まれ、何度か危機に陥る。爆雷攻撃は延々と続き、艦内に動揺が走る。

死も任務のうちだ。だが、私は諸君を死なせはしない

しびれる台詞で乗組員を落ち着かせる。そして冷静に駆逐艦の動きを分析、一発逆転の反撃に転ずるのだった。

この後に訪れるクライマックスはミニチュアを使った撮影であり、実物と見まがうまでに進化したCGに比べると見劣りはするものの、十分な説得力がある。それは、何を見せたいのかが明確であるからだ。二人の意志が、駆逐艦とUボートという形で具現化されている。

心理描写はどちらかと言えば控えめであり、今だったら回想シーンが入ったり、泣き演出が入ったり、大袈裟に葛藤する描写が盛り込まれたりするだろうが、そういった類は一切ない。しかし、控えめではあるがクルト・ユルゲンスの行為がロバート・ミッチャムに与えた影響、死と破壊が繰り返されるという絶望感からの救済が感動的に描かれている。復讐の連鎖を止められるのは、死を覚悟した本物の男だけなのかもしれない。
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by nakieiga | 2007-04-09 00:04 | DVD