青に候(あをにさうらふ)/志水辰夫
2007年 04月 17日
志水辰夫の初時代小説(と帯に書いてあったように思う)。とは言え、舞台は変われど志水節は変わらない。
船酔いに悩まされつつ、江戸に戻ってきた男が一人。わけありらしく、人目を忍んで長屋に潜む。男の名は、佐平。何のために佐平は江戸に戻ってきたのか、そして江戸へ戻らなければならなかったのか、次第に明らかになっていく。不器用な男たちの意地の張り合いがそこにはあった。
少し前に読んだ『行きずりの街』に雰囲気が少し似ているが、こちらのほうが完成度が高い。志水作品の中には、主人公はいいけど他の男が今一つ、というものがあるが、本作は佐平の周りに良い男が揃っている。不器用な男たちを必要とする時代背景が良いのだろうか? そうすると、志水辰夫にはどんどん時代小説を書いてもらいたいものだ。
最後の一行は、初期の志水辰夫ファンとして蛇足と見るべきか、あるいは近作のファンとしてサービス精神の発露と考えるべきか、評価に悩むところだ。その直前の一文を読めばこう続くことが予測されるので、ないほうがより「男泣き」できるのは確かではあるが。
★★★★(志水作品を再読したくなった)
船酔いに悩まされつつ、江戸に戻ってきた男が一人。わけありらしく、人目を忍んで長屋に潜む。男の名は、佐平。何のために佐平は江戸に戻ってきたのか、そして江戸へ戻らなければならなかったのか、次第に明らかになっていく。不器用な男たちの意地の張り合いがそこにはあった。
少し前に読んだ『行きずりの街』に雰囲気が少し似ているが、こちらのほうが完成度が高い。志水作品の中には、主人公はいいけど他の男が今一つ、というものがあるが、本作は佐平の周りに良い男が揃っている。不器用な男たちを必要とする時代背景が良いのだろうか? そうすると、志水辰夫にはどんどん時代小説を書いてもらいたいものだ。
最後の一行は、初期の志水辰夫ファンとして蛇足と見るべきか、あるいは近作のファンとしてサービス精神の発露と考えるべきか、評価に悩むところだ。その直前の一文を読めばこう続くことが予測されるので、ないほうがより「男泣き」できるのは確かではあるが。
★★★★(志水作品を再読したくなった)
by nakieiga
| 2007-04-17 00:14
| 読書