(´;ω;`)ブワッ


by nakieiga
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a0067708_11565685.jpg戦艦と言えば日本では〈大和〉が有名だが、戦史においてその存在感は小さい。存在感で言えば、ドイツ海軍の〈ビスマルク〉のほうが圧倒的に大きい。〈ビスマルク〉は敵であるイギリスにとって何がしかの象徴的な存在になったのに対し、〈大和〉は何ら存在感を示すことができなかった。そりゃあ沖縄へたどり着き、敵戦艦の5~6隻でも屠っていれば話は別だったが。

1941年、ドイツ支配下のノルウェイから〈ビスマルク〉が出撃した。「ライン演習」と呼ばれる、通商破壊作戦である。当時のイギリスは日本同様、海上連絡線が命脈であり、そこを断たれると干上がってしまう。実際、Uボートや通商破壊艦の活動により、イギリスは厳しい状況に追い込まれていた。

この上、世界最強を誇る〈ビスマルク〉が大西洋へ進出してきたら!

かくして、イギリス海軍は総力を挙げて〈ビスマルク〉阻止に乗り出す。敵が進出してくる可能性が高いデンマーク海峡にはイギリス海軍の誇り〈フッド〉と新鋭戦艦〈プリンス・オブ・ウェールズ〉を配する磐石の布陣。そして、〈ビスマルク〉はそこへ現れた。鎧袖一触、〈フッド〉を轟沈させると、〈ウェールズ〉にも大きな損害を与えたのだった。

その破壊力はまさに暴龍。一敗地に塗れた騎士=イギリス海軍だが、勇敢なソードフィッシュ隊の雷撃で足を止め、ついには龍退治に成功するのである。

という、海戦史上に残る一週間ほどの戦いを、イギリス海軍司令部の視点で描いたのが本作。〈ビスマルク〉に対し、畏怖と畏敬の念が混じる当たり、イギリス海軍にとって「彼(例外的に「彼女」とは呼ばなかったらしい)」の存在感がいかに大きいかがわかる。

特撮も優れていて、〈ビスマルク〉などのミニチュアを映すシーンと、これは当然ながらイギリス艦のものになるが、砲撃や雷撃シーンの実写とが、それほど違和感がない。ソードフィッシュの発艦や魚雷発射、ポンポン砲の発射シーンなど印象的だ。

面白いのは、直接砲火をまみえるドイツ艦とイギリス艦、それにイギリス海軍司令部の視点はあるけれど、ドイツ海軍司令部の視点がないということ。実際、彼らの無理解が〈ビスマルク〉喪失につながったのであり、そのこととリッチェンス提督が最期まで胸に抱いた空証文とが、悲劇性をもたらしている。それゆえに、〈ビスマルク〉撃沈の報せが届いても、「なかなか歓声が出せないものですね」というダナ・ウィンターの台詞が胸に染み入るのである。

海戦映画の傑作の一つだ。
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by nakieiga | 2007-05-02 11:52 | DVD

眼下の敵

a0067708_11551294.jpg最近のどの潜水艦映画を観ても『眼下の敵』を思い出してしまうほど、潜水艦戦の映画的演出が凝縮された作品。

原作は小説『水面下の敵』。未読だが、著者が自身の体験を基に書いた小説ということだから、イギリス軍とドイツ軍の戦いと思われるが、映画はもちろんイギリス軍がアメリカ軍に置き換えられている。緒戦であれば、本作で描かれるような騎士道精神の発露が見られたと思うが、アメリカが参戦して以後、主導権が逆転しての1942年以降は果たしてどうであったろうか。

南大西洋でアメリカ海軍のバックレイ級駆逐艦がUボートを発見する。司令部からの情報によれば、Uボートは通商破壊艦と接触しようとしている。放っておくわけにもいかず、迂闊に追いかけて通商破壊艦(装甲艦なんだろう)と接触するわけにもいかない厳しい状況下にあって、駆逐艦艦長(ロバート・ミッチャム)は的確な指示でUボートを追い詰めてゆく。

それまで民間出身ということもあり、乗組員から厳しい目を向けられていた艦長だが、次第に不信感が払拭されていく。と同時に、Uボートを発見するや果断に攻撃を下命した理由が明かされる。艦長は元商船の乗組員であり、乗船を撃沈されたのだ。しかもその船には結婚して間もない妻も乗っていた。

死と破壊は永遠に続く。それは首を切られてもまた生えてくる蛇のようなものだ

ロバート・ミッチャムはUボート追跡を断固として続ける。

一方で追い詰められる側のUボート艦長(クルト・ユルゲンス)も手練れだ。任務に忠実なあまり動きを読まれ、何度か危機に陥る。爆雷攻撃は延々と続き、艦内に動揺が走る。

死も任務のうちだ。だが、私は諸君を死なせはしない

しびれる台詞で乗組員を落ち着かせる。そして冷静に駆逐艦の動きを分析、一発逆転の反撃に転ずるのだった。

この後に訪れるクライマックスはミニチュアを使った撮影であり、実物と見まがうまでに進化したCGに比べると見劣りはするものの、十分な説得力がある。それは、何を見せたいのかが明確であるからだ。二人の意志が、駆逐艦とUボートという形で具現化されている。

心理描写はどちらかと言えば控えめであり、今だったら回想シーンが入ったり、泣き演出が入ったり、大袈裟に葛藤する描写が盛り込まれたりするだろうが、そういった類は一切ない。しかし、控えめではあるがクルト・ユルゲンスの行為がロバート・ミッチャムに与えた影響、死と破壊が繰り返されるという絶望感からの救済が感動的に描かれている。復讐の連鎖を止められるのは、死を覚悟した本物の男だけなのかもしれない。
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by nakieiga | 2007-04-09 00:04 | DVD